スーツ/メンズブランド＆趣味のセレクトショップ　～紳士道～

スーツのディティール
スーツを購入する時には、ディティールを理解し、自分の意見をスタッフにしっかり伝えることが大切

フラワーホール
	風をよけるために、襟を立てて着ていた時のボタンホールの名残。後になって花を挿して飾ったことから、フラワーホールと呼ばれることになった。ラベルホールとも呼ばれる
バルカポケット
	内側から外側に向かって斜めに曲線を描きながら上がった胸ポケットのこと。ジャケットに立体感を与えるように考案された仕立てで、高度な技術が必要とされる。舟底ポケットとも呼ばれる
ボタンホール
	ボタンを通すための穴。ボタンホールステッチで、穴の周りをかがったもの。仕上がりの美しさでハンドメイドとミシンメイドの違いが如実に現れる部分でもある
重ねボタン
	ジャケットの袖口のボタンが重なるように付けられている仕様。袖口に華やかな印象をあたえる。また、ボタンの微妙な重なり具合に職人の技量が問われる
本開き
	ジャケットの袖口のボタン穴をステッチしただけでなく、実際に開閉できるようにした仕様。袖をまくりやすいという利点のほか、ボタンを開けてさりげなく個性を演出することもできる。本切羽とも呼ばれる
ゴージライン
	カラー（上襟）とラベル（下襟）の縫い合わせ線のことを指す。クラシック仕様のスーツの場合、ゴージラインは高い位置にあることが多い。一般にゴージラインが高くなるにしたがい、高度な技術が要求される
ラペル
	襟の下部分のことであり、下襟とも呼ばれる。ノッチドラベルと呼ばれるものと、ピークドラベルと呼ばれる二種類のものがある
ダーツ
	前身頃の胸の辺りから腰ポケットにかけて、縦に入れられたつまみ縫いのこと。生地を立体化するための技法の一つで、これにより、曲線で構成された人体にフィットする。シルエットをすっきり見せる効果もある
プリーツ
	パンツの前部分のひだのこと。タックとも呼ばれる。立体感を出し、動きやすくする機能がある。アウトプリーツとインプリーツがあり、前者は動きやすく、後者はシルエットを崩しにくい効果がある
フライ
	コートやジャケットなどに使われる比翼仕立て（フライフロント）をパンツの前開きに応用したため、こう呼ばれる。隠しボタン式や、隠しファスナー式のものがあるが、ボタン式のほうがクラシックなイメージになる
クリース
	パンツの両脚部分の前面に入れられた、折り目のこと。パンツの第一印象を決めるものなので、いつも綺麗な折り目を保ちたい。パンツに立体感を与え、足のラインを長く、綺麗に見せる効果がある
カフス
	通常、ダブルと呼ばれることが多い、パンツの折り返しのこと。カジュアルな印象があるので、カフスのあるパンツはフォーマルな場での着用は避けたい
お台場
	上着の見返し部分の表地を内ポケットの周りに延長し、一枚生地のまま切り返しを付けずに縫製するもの。内ポケットを補強する役割がある。より多くの生地を使う、手の込んだ作りが高級感のある印象を与える
スラントポケット
	スラントとは、斜め、傾斜という意味で、斜めに付けられたポケットのことを指す。体とのフィット感を生み、モダンな印象を与える。スランテッドポケットとも呼ばれる
カラー
	襟の上部分を指し、上襟とも言う。首に沿って立ち上がっている襟腰の部分が、高すぎても低すぎても美しくない。シャツが１ｃｍほど見えている状態がベスト。着丈、背丈を計る際の基準点になる
チェンジポケット
	小銭入れ用ポケットとして発案された。別名チケットポケットとも言う
ベント
	背中の裾の部分に入れられた開きのこと。中央に入れられたセンターベント、鉤形のフックベント、両脇の裾に入れられたサイドベンツがある。これはもともとは、乗馬の際に動きやすくするために考案されたものである
スーツの素材と柄
スーツの印象は、その素材と柄によって大きく変わってくる。素材と柄を知り、スーツ選びに役立てよう

＜ウール素材＞

フランネル
	主に平織りか綾織りの紡毛織物で、両面の起毛が特徴。英国ウェールズ地方生まれの織物。名前の由来は、グラン（ウールの意味）の形容詞グランネルからきている
サキソニー
	当初、スペインのメリノ種の羊から採ったサクソンメリノという羊毛を平織りか綾織りで織った織物をこう呼んだ。現在では、メリノ種の羊毛を使った梳毛糸を綾織りにし、ミルド仕上げ（縮絨・起毛）を施した肉厚で柔らかな梳毛織物を指す
ギャバジン
	織り目の緻密な綾織りの梳毛織物で、クレバネットともいう。縦糸の密度が横糸より著しく高く、綾目が６０度ほどの急傾斜になり、くっきりと浮き出している
サージ
	綾目が右上がり４５度の縦横の密度を同じにした綾織物のこと。ケバを切り取って組織をはっきり見せた梳毛織物
ツイード
	もともとはイングランドとスコットランドの境に位置する地域で織られていた粗剛な綾織り（TWILL）が間違ってツイードと呼ばれることになった。現在はスコットランドおよびアイルランドを主要産地とする紡毛織物のことをいう
マットウーステッド
	穀物を入れた麻袋のマットに似ているため、この名が付いた。平織りの変化組織で、縦糸、横糸共に二本かそれ以上の糸を用いた斜子織り
シャークスキン
	サメの皮に似ているためにこう呼ばれている。縦に白、横に色糸を用いて綾織りにした梳毛織物で製織後、織り組織をはっきり見せるクリア仕上げをしている
ホップサック
	名前の由来は、ビールの副原料を入れる麻袋に似ているため。原料に英国種チェビオット羊毛糸を使ったホップサックツイードが代表的
コーデュロィ
	フランス語のコルド・デュ・ロワ（王様の畝）を語源し、表面に毛羽立った縦畝を表した綿織物を指す。地組織は平織りと綾織りとがあり、織り上げられた後に浮いているパイル縦糸は、縞状に毛の長さを揃えられ、その繊維は上方にブラシをかけて仕上げられている
＜夏の素材＞

ポーラ
	語源はPOROUS（多孔性の意味）で、米国エリンソン社の商標であり、英国では一般にフレスコと呼んでいる。三本の強撚梳毛糸を平織りにした梳毛織物で、清涼感とシャリ感のある風合いが特徴
オックスフォード
	もともとスコットランドの、ある紡績会社がオックスフォード大学の付いたシャツ地を売り出したのが名前の由来。普通は白糸とストック染め（紡績する前に染色する方法）の色糸を縦横共に２本ずつ引き揃えて斜子織りにした綿織物を指す。縦横の引き揃えた２本ずつが寄り合って、織り目に隙間を生むため、柔らかく、通気性に富む。スポーティーな趣がある
シャンプレー
	縦に色糸、横に白糸を用いた薄手の綿平織物。糸染め織物特有の霜降り風の味わいと光沢がある。夏用のスーツに用いられる
シアサッカー
	縦方向に波状の凸凹のある部分と、平らな部分とが交互に縞を表す薄手の綿織物のこと。シワになりにくく、実用性が高い
コードレーン
	縦糸の方向に何本かの糸を引き揃えてコード状の畝を表した織物で、手触りは硬めでさらりとしている。また、コード織りのもう一つに、地糸を一本から五本おきに平織りにし、畝を織り出すものもある。コードストライプは太い糸で一定間隔に縞を浮かせた平織りを指す
トロピカル
	熱帯地方の意味で、その名前のとおり夏のウール素材。かつて英国からインド、南洋英国領諸地域から輸入されていた細い梳毛糸を使った平織りまたは綾織りに、クリア加工をしている

＜柄＞

ピンストライプ
	無地の生地に針（ピン）の先でつついたような点々からなる縞柄があるためピンストライプと呼ばれている
チョークストライプ
	無地の生地にチョークで線を引いたように見えることからこう呼ばれている。ロンドンのシティで働く銀行家たちが好むことからバンカーストライプとも呼ばれる
グレンチェック
	スコットランド語でアーカート峡谷の意味を持つ「グレナカート」という言葉から名づけられた柄。数本からなるストライプを縦横に配して箱型の格子を作り、そこに色の異なる大格子を合わせたものを指す
ハウンドトゥース
	「猟犬の牙」という意味があり、日本では千鳥格子とも呼ばれている。イギリスでは、狩猟用の上衣や、バルマカーンコートなど、主にツイードなどの古典柄だが、日本ではスーツ柄としても用いられる
ウインドウペーン
	単純な正方形の格子が「窓枠」を連想させるため、こう呼ばれている。英国紳士のウィンザー公が晩年に愛用した柄としても知られ、１９６０年代にはアメリカ東部で流行した
ヘリンボーン
	織り柄がニシンの骨に似ているために、こう呼ばれている。破れ斜文線により、杉の木状の縦縞を表し、杉綾織りとも呼ばれる。グレイ地に黒やダークグレイの模様が一般的
ピンチェック
	縦に白糸二本、色糸二本を引き揃えて交互に配列し、横には色糸を使用して平織りにし、布面に細かい格子縞を表したもの

スーツ選びのポイント
着る人にしっかりフィットしていることが大前提。ジャストフィットなスーツとは？

襟が浮かないこと
	ジャケットを羽織ってみて、自分の首から肩にかけての体のカーブに襟がしっかりと沿っていれば、ＯＫ！
腕を上げた時に襟が首に触らない、サイドの身頃がつらない
	日常生活の中での動作を想定して腕を軽く上げてみる。腕がスムーズに動けば合格！
背中にしわができない
	例えば、襟の下に出来る「つきジワ」ジャストサイズより小さいと横ジワ、大きいと縦ジワが入る。アームホールの横からウエスト部にかけて入る「ダキ」という縦ジワは、多少あった方が良い。生地に余裕を持たせるためだ
着丈がヒップラインに合っている
	ベストバランスの着丈は、ヒップが隠れる長さを目安にしよう
パンツのシルエットを考慮した袖丈
	袖丈は、親指の先から袖口までを１１センチにするのが目安
ウエストサイズは、前からも後ろからもチェックする
	小さいサイズを無理してはくと、プリーツが開き、品位を損なう。オーバーサイズをベルトで縛れば、後ろ姿にギャザーができ、バックスタイルが台無しになってしまう
上質なスーツの見抜き方
ここではスーツの基本的な処理が施されているかをチェックする

まずは、平らな場所にスーツの上着を置いてみる
	スーツは、ジャケットが丁寧に仕立てられていれば、大抵はパンツも丁寧に仕立てられているはず。それで、ジャケットをテーブルや棚などの平らな部分に置いてみる。ハンガーに掛かった不安定な状態よりも、丁寧かつ迅速に「見抜く」ことができるのだ
型崩れを防ぐ、「星」というステッチ処理が施されているか？
	前身頃の裏側の端に、表地が使われている「見返し」と呼ばれている部分がある。この部分の生地が動かないように、スーツの芯地と生地を留めるステッチ処理が「星」だ。この「星」がないと、ジャケットを着込むうちに見返し部分の生地が表側に見えてくることがある。「星」は生地のめくれを防ぐ防波堤なのだ
裾のアーム状の箇所が反り返っていないか？
	前身頃の生地を若干長く「見返し」の生地が短めに設定されていれば、裾のアール状の箇所は内側にロールする。反り返ってしまうものは、生地の設定が不適切な証拠
ボタンが「根巻き」という手法で高めに付けられているか？
	ボタンホールの厚みを考慮し、糸を巻きつけてボタンと服地の間に適当な間隔を設ける「根巻き」という処理がなされているものは、服地や糸の劣化を防ぐ。「根巻き」を選ぶように
ボタンホール処理で、意図が整然としているか？ほつれはないか？
	最近のボタンホールは、ミシンでの処理が多く、縫い目は比較的綺麗に整っている。しかし、手縫いに比べて糸の留め方が緩いものが多い。ほつれていないかどうかをチェック！
「フロントダーツ」の端がきちんとプレスされているタイプを選ぶ
	胸のカーブに合わせるために、身頃に切り込みを入れてつまみ、丸みを持たせるという重要役割を持つ「フロントダーツ」。この端の部分をきちんとプレスする心配りがなされていれば他の仕事も丁寧になされていることを確信できる
襟の裏側と襟に覆われている箇所に細かなステッチがあるか？
	表地から芯地をすくい縫いする「ハ刺し」という手法が施されているものが良い。夏用の麻のスーツなどは服地と芯地を接着剤で付ける場合もある。しかし、ウール素材であれば、きちんと糸で処理されているものが「上質」なものである。極力目立たないように施す作業なので、服によっては判別しにくいが、指の腹で触ってみると細かなステッチが確認できる

スーツのメンテナンス 1 0 カ条
スーツをいつも良い状態に保つことも紳士のたしなみ

１：　連続して着用しない
２：　ハンガーは肩に厚みのある木製のものを使う
３：　パンツはクリップ状のパンツハンガーで吊るす
４：　ブラシは天然素材のものを選ぶ
５：　ブラッシングのやりすぎは逆効果
６：　着用後、一日は風通しのいいところに掛けておく
７：　スチームをかけたら完全に乾かす
８：　ローゼットに収納するときは、スーツとスーツとの間隔をあける
９：　クリーニングは夏物はシーズン1,2回。冬物は1回まで
１０：スーツは最低5着あるとよい